和尚歴遊(彦根 清凉寺)

2010年2月3日 11:02 AM Filed under: 和尚歴遊 
先月末、比叡山に行ってきました。彦根~比叡山と色々なお寺を廻ってきたので、水の都滋賀県での寺めぐりを何回かに分けてご紹介を。

滋賀県彦根市。琵琶湖に面する井伊氏彦根藩のお膝元。幕末の大老・井伊直弼の名は誰もが耳にしたことがあるだろう。その井伊氏の菩提寺が曹洞宗清凉寺。1631年に彦根藩初代藩主井伊直政の菩提を弔う為に開山された。

境内入り口にある大きく「参禅道場」と書かれた石版が、歴代宗門の高僧が住職を務めたこの寺の格式の高さを物語る。井伊直弼もここで参禅したらしい。石敷きの参道の先には四脚の山門が。山門右には同じく四脚の通用門があり、こちらのほうが間口がやや広い。

 

参道から山門を望む

参道から山門を望む

門より中へ入ると、まず庫裏に驚かされる。禅宗様切妻造りの庫裏なのだが、これ程立派な庫裏には中々お目にかかれない。煙出しの付いた瓦葺の切妻屋根。そして妻入りの玄関には銅版葺きの巨大な唐破風が。破風の鬼瓦には井伊家の家紋「丸に橘」が煌々と輝いている。
庫裏

庫裏

徳利柱
さらにその破風を支える二本の柱がまた凄い。(右の写真・クリック拡大)
大人が両手を回してもまず届かないであろうほど巨大な柱は、上へいくほど滑らかに細くなる。いわゆる徳利柱だ。
庫裏には「内部拝観できません」と張り紙が。観光寺でないので内部拝観できないそうなのだが、それでいいと思う。
そのスタンスがこの名刹に禅寺特有の静寂と緊張感、さらには心の安らぎを与えてくれる。
右の写真から垣間見えるのが本堂。趣のある建物だ。
綺麗に掃除された境内に飾り気のない本堂が禅寺の雰囲気を醸し出す。
参禅道場だけあって、僧堂(坐禅堂)も立派だ。裳階付き重層入母屋造りなので一見仏殿のようだが、本堂を基準にして建物の位置を考えると、おそらく坐禅堂であろう。花頭窓と丸窓が伝統的な禅宗様の美を伝えてくれる。
坐禅堂

坐禅堂

坐禅堂の前にある巨木はタブノキと言うらしい。この老木は何百年もこの場所で清凉寺と藩主井伊家を見守ってきたのであろう。

伽藍も境内も、そして雰囲気も、本当に素晴しいお寺でした。


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少林山 西来院 -曹洞宗- 〒011-0905 秋田市寺内神屋敷11-6 画像・文章の無断転載禁止 / by rinshoji.com