9代藩主義和が染織工芸を奨励した時期、秋田蚕糸絹織の開祖・石川遊蚕が、京都西陣織の名工・村上円八を招き5年の歳月を要して織り上げた大涅槃図で、「金色の老釈尊の病貌表現、実に崇厳」と評される、秋田にとって空前絶後の染織物の秀作である。

これは文化年間(1804~1818)、住職の法衣にすがり罪を免れた一婦人の親族、六郷の栗林家などの寄進によるものといわれ、縦9尺7分、横10尺3寸七分の大作で秋田県指定有形文化財(工芸品第一号)である。

また図柄の中に、他の涅槃図には絶対にない、一匹の猫を配しているが、これは製作中に片時も傍を離れず、織物を鼠から守った猫に報いたものといわれ、完成後に姿を消した猫のため猫塚がある。

文化10年酉6月7日(西暦1813年7月初頭)天徳寺39世實苗義産大和尚が、西来院涅槃図開眼供養の導師を勤められた際の香語。当時、秋田市テン(門の中に眞)信寺門下金貌和尚なる人が写筆した物が現存。テン信寺現住職、徹延老師より寄贈されたものを現代語訳したもの。

少林山 西来院 -曹洞宗- 〒011-0905 秋田市寺内神屋敷11-6  文章出典「秋田県曹洞宗寺伝大要」著・大坂高昭師(無明舎出版) 画像・文章の無断転載禁止 / by rinshoji.com