アブラクサスの祭を読む

2010年3月10日 3:06 PM Filed under: つれづれ 

臨済宗僧侶であり、芥川賞受賞作家の玄侑宗久師の小説「アブラクサスの祭」を書読んだ。この小説は近々映画化され、玄侑宗久師原作では初の映画となる。公式ホームページを見たが、なかなかのキャスティングだ。

少し話しを変えるが、昨日の天気予報がバッチリ当たり、今朝は銀世界であった。なまじ暖かい2月を過ごし、今年の春は早いかな?などと思っていた。しかし積もった雪を見ていると、やはり秋田の春はまだまだ先だという事実に少し憂鬱になる。

話を戻し、この小説、「欝」がポイントになる。それも今朝感じた憂鬱というような軽い落ち込みではなく、れっきとした鬱病だ。

躁鬱病を患い自殺経験のある僧侶が、自分の住む街でロックライヴを行うという内容。主人公の躁状態のときの異様なテンション、そして鬱状態のときの心の闇が言葉巧みに表現されている。

個人的には読んで楽むより観て楽しむ作品であると思う。主人公の苦悩は言葉では重すぎる感があるからだ。「鬱病の坊さんが頑張ってライヴを成功させるべく苦悩する映画」なのだが、そこに宗教家としてのエッセンスが加わる。同じく玄侑宗久師作の「アミターバ 無量光明」もそうであったが、とても上手く心の葛藤や精神世界を文章で表してくれている。時に難解なその文章は、私程度の頭で理解するには映像のほうが助かる。

同情したくなるほど苦悩する主人公を、映画では主演のスネオヘアー氏がどのように演じるのか見物である。


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