お釈迦様が亡くなった原因はクシナガラの純陀(じゅんだ)という鍛冶屋が布施したキノコ料理による食中毒だといわれている。お釈迦様が街を通過すると聞きつけた彼は大喜びで駆けつけた。お釈迦様は純陀が持参した質素なキノコ料理を受けた。純陀の料理を食べたお釈迦様はその直後激しい腹痛を訴えるが、平静を装っていた。
結局その夜お釈迦様は亡くなってしまうのだが、弟子の阿難陀(アーナンダ)にこう言った。
「きっと誰かが言い出すだろう。『純陀が毒料理を食べさせたせいだ。純陀には功徳がない』と。しかしそれは間違いであり、私は純陀の料理を最後の供養として逝くのである。この供養は煩悩のない涅槃の境地へ入る縁になったのだ。私が受けた供養の中でもスジャータ(成道の際に最初に乳粥の供養を捧げた女性)のものと並び、我が人生の供養の中で最も重要なものである。純陀は大いなる功徳を積んだのである。純陀を恨む者が現れたなら、よく諭すのです。」
涅槃図にはお釈迦様のお顔の傍で悲しむ純陀も描かれている。 つづく
« 西来院散策(涅槃図記1)花祭り準備 »