西来院散策(歴住墓地)

2010年3月20日 11:14 PM Filed under: 西来院散策 

18日から始まった春彼岸は明日が中日。今日から3連休の人も多いことであろう、朝からお参りの方々が引切り無し。私も参拝者と雨の切れ間をみてお墓参りに。

西来院歴住墓地

西来院歴住墓地

西来院の歴代住職の墓所は檀家墓地の奥にある。檀家墓地を抜け、鬱蒼とした林の中に歴住の墓が並ぶ。在家の方々の墓は和型と呼ばれる長方形お墓が多数を占め、最近は洋型と呼ばれる背の低い墓や、時折個性的な墓がみられる。これらとは別に我々僧侶の墓に用いられるものは「無縫塔(むほうとう)」という全体的に丸みを帯びた形であり、その為「卵塔(らんとう)」とも呼ばれる。この形は鎌倉時代に禅宗と共に中国より伝わった。

無縫塔(卵塔)

無縫塔(卵塔)

なぜ無縫塔と呼ばれるのかというと、この塔は型にとらわれないものであるため。故に無縫すなわち前後左右も無く上下の継ぎ目も無い。2つ以上の石を積み重ねず、1つの石で丸みを帯びた塔身を形成している。そもそも塔といえば五輪塔にみられる複数の石を積み重ねたものや、五重塔や十三塔のように重層建築であるので自ずと縫目継目ができる。和尚の墓は一塊の石をもって造るので、縫目継目が無いので無縫塔と呼ぶ。墓標という概念が一般に根付いたのは江戸時代であるので、さしずめ無縫塔は現在多くみられる和型墓の起源であるかもしれない。

無縫塔天辺

無縫塔天辺

無縫塔の天辺が尖っているのがお分かりだろうか?

この尖りは万物生成吉祥の兆しであり、仏の三十二種好相による頂髻相(頭の頂の肉が隆起している。肉髻(にくけい)の事。)と同様である。

最後に余談であるが、石川県羽咋の曹洞宗古刹永光寺にある太祖瑩山禅師の無縫塔は卵型でなく真円であった。

瑩山禅師無縫塔 H20,12,1撮影

瑩山禅師無縫塔 H20,12,1撮影


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