久々の仏像記は僧形文殊菩薩像のご紹介。
禅宗寺院の多くは僧堂(坐禅堂)にこの僧形文殊菩薩像を安置する。以前紹介した西来院本尊三尊佛の文殊菩薩は宝冠や装飾を身に纏っているのに対し、この文殊菩薩は「僧形」だけあり袈裟・衣を纏う。これは修行僧としての完成を意味するものであり、禅宗寺院では「聖僧(しょうそう)」と呼ばれる。両方とも獅子上に座すのは同じであるが、僧形文殊菩薩像はお釈迦様の脇侍仏ではなく単独で祀られる。
ちなみに僧形文殊菩薩は坐禅形であるが、我々の坐禅形とは手足の組み方が逆である。それは我々の坐禅は「降魔坐」といい、自分の魔を抑える修行の為の坐禅である。対して僧形文殊菩薩の坐禅は「吉祥坐」といい、迷っている人に救いの手を差し伸べる、仏様の坐禅なのである。
当院の僧形文殊菩薩像は檀家の佐藤照男氏が平成18年に寄進して下さった。
西来院の小さな小さな坐禅堂で、毎日我々の修行を見守ってくれている。
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