和尚歴遊(魚沼 永林寺)

2010年9月8日 4:55 PM Filed under: 和尚歴遊 

江戸末期の天才彫刻師石川雲蝶。新潟県内に無数の傑作を残した名工である。人呼んで越後のミケランジェロ。

新潟県魚沼市にある曹洞宗永林寺。このお寺にも沢山の雲蝶の傑作が所蔵されている。

道の途中途中にあるユニークな看板のとおりに車を走らせる。

 

参道に建つ小振りなコンクリ製の山門の先に本堂が見える。本堂手前では阿吽形の狸が参拝者を出迎える。過去には茅葺き屋根であったろうと推測できる方行造りの本堂では、屋根にかからない様に建てられた唐破風の向拝に目がいく。

永林寺本堂

永林寺本堂

境内には所狭しと列ぶ石仏・歌碑・句碑はとてもユーモアがあふれており見る者を飽きさせない。

鮭鮫鱈鯉(酒醒めたら来い)

鮭鮫鱈鯉(酒醒めたら来い)

禅宗の入り口には「不許葷酒入山門(生臭物と酒は山門より中へ入ることは許さない)」という石碑が建つ。この永林寺様は「鮭鮫鱈鯉(酒醒めたら来い)」。魚へんの言葉遊び。酒好きの私はこの碑を見ると逆に御酒の肴が頭に浮かぶ。そういえば雲蝶も大層な酒好きであったらしい。

10時より拝観可能で拝観料は1人300円。残念なことに堂内の雲蝶彫刻は写真撮影禁止である。

拝観入り口の看板

拝観入り口の看板

本堂内は雲蝶の彫刻と絵画で埋め尽くされているといっても過言ではない。極彩色の龍が彫られた欄間は彫りが深く恐ろしいまでの迫力であり、対して茶道具や植物が描かれた浅彫りの欄間は何ともいえない品がある。

廊下欄間に彫られた怪談「小夜之中山蛇身鳥」では仙人の骨が浮き出た体の質感が不気味さを醸し、西室中の「天女」は長時間見とれてしまうほど妖艶である。

傑作に囲まれた感動と至福の時間であったが、下手な文でしか綴れないことが残念で仕方がない。


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