秋田市から車で一時間と少し、枝垂れ桜と武家屋敷で有名な角館を過ぎると田沢湖町（現仙北市）に入る。田沢湖は水深日本一をほこる綺麗な湖であり、良質な温泉やスキー場は角館と共に秋田県有数の観光地である。

その田沢湖から程近いとこに鋳造製では日本一の大きさといわれる田沢湖金色大観音がそびえる。

２０年以上前、小学生の頃拝観したきりであるので久々の参拝である。当然記憶は曖昧であるが、随分華やかで賑やかな思い出があったのだが・・・

個性的な山門が迎えてくれる。あたかも化け物が口を開いているかの如く。先ほどまでの雨と高原の環境が相まって薄い霧が不気味な雰囲気を増す。人の気配は一切無い。というか受付も無人である。

参道のなかほどにゲートを兼ねていると思われる建物があり、「高野山金色大観音」と大きく書かれている。真言宗なのであろう。そういえば仙台大観音も真言宗豊山派だったな。観音堂や八十八カ所堂があるが無人である。放置された芝刈り機が感傷をさそう。

大自然に囲まれた境内、向こうに見える大観音。まちがいなく子供の頃のままだ。しかし感じる違和感。おそらく人気の無さと建物の老朽化によるものだろう。

とはいえ、日本一を謳っている金色大観音であるだけに、その迫力たるや並大抵のものではない。正真正銘金色のお体は雨露に濡れ一層輝く。近くによれば剥離など古さもみえるが、その大きさ故に気にはならない。

実はこの観音様、地下に幻想宮殿なる（珍）スポットがあり、胎内巡りのようなものができる。写真撮影厳禁であるため是非ご自分の目で確かめていただきたい。田沢湖金色大観音の本気が伝わってくること間違いなしである。