湯殿山大日坊は正しくは湯殿山総本寺大日坊瀧水寺といい、弘法大師の開創。山形県鶴岡市の山中にあり、明治維新期の神仏分離令発令以前は湯殿山(現在は神社)の本寺であり、廃仏毀釈で寺を焼かれる以前は広大な寺域に大小様々な伽藍が立ち並ぶ大寺院であった。
天気がよければ望めるであろう月山と向かうように建てられた山門は山形県内最古の仁王門だそうだ。
仁王門の正面には左右に風神・雷神、裏には阿吽仁王像が安置されている。山門の風雷神像は正面に雪除けと覚しき磨りガラスがはめられており、横の格子を覗かなければ見えないのだが、その風格たるや東北一の霊山にふさわしく勇壮な形である。
巷では春であるが、まだ残雪の残る境内。細い参道を進むと土手にはふきのとうが沢山顔を出している。
石段を上がると見える本堂は拝観入り口も兼ねている。向かって左は庫裡兼宿坊だろうか。案内には団体参籠も可能と書いている。
500円の拝観料を払い中へ入ると、僧侶によるお祓いと拝観案内が付く。説明して下さった和尚様の語りはとても上手でしかも丁寧である。500円は格安の拝観料である。
私がこのお寺に来た目的の一つが即身仏である。真如海上人という大日坊の高僧の即身仏である。
即身仏とは、湯殿修験(行者)の行う難業苦業の最たるもの即ち木食の行をつみかさね身と口と心の行ないを正して自らを修め慈悲を施して他人を正し現世来世を通じて仏国楽土を築かんとの信仰から死後も体を残して人々に仏教を語ろうと決意され、生きながらにして土中に入定し三年三ヶ月後に弟子や信者の手により掘り出し之を洗い清め乾かして即身仏となられるのである。尚、木食の行を何十年もくりかえし実行の結果は、身体内の窒素率を消耗しつくし腐敗雑菌の発生を防ぎ朽ちない身となるのである。(大日坊ホームページより抜粋)
緋色の衣に身を包んだ即身仏は神秘的であるが、心なしか笑顔にみえる。日本で数体ある即身仏の中でも真如海上人の即身仏だけは防腐処理がなされていない為、白っぽい即身仏だそうだ。
即身仏の他にも数々の宝物を有する大日坊。見所満載である。
« 宗務所婦人会総会花まつり »