「親鸞」を読む

2010年1月14日 3:18 PM Filed under: つれづれ 
親鸞像

親鸞像

五木寛之氏が昨年まで全国27紙で新聞連載していた「親鸞」。言わずと知れた浄土真宗開祖であり、波乱の生涯を送ったとされる親鸞聖人の一代記。秋田でも秋田魁新報で連載していた。書籍化されたら一気に読もうと思い新聞の連載には目を通さずにいたが、いよいよ読む機会がやってきた。

上下二巻本なので、一気に読み進めるものではなかったが、毎晩就寝前に瞼が重くなるまで精読し、我が曹洞宗開祖道元禅師と同じ時代に生きた名僧親鸞聖人の生涯に毎夜感動している。
伺ったところによると、親鸞聖人の生涯は他宗派の開祖様に比べて研究が進んでいないので小説はフィクションの部分が多いとのこと。しかし五木氏は京都の浄土真宗系大学である龍谷大学に仏教史を学んだ方なので、鎌倉仏教の成立や時代背景等、素晴しい小説に仕上がっています。
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【五木寛之・27紙への「親鸞」連載にあたってより】
今、なぜ親鸞か。                  
それは私たちの時代がいままさに「疑(ぎ)」と「迷(めい)」の闇のまっただなかに滑りこんでいこうとしているからである。「貧(ひん)」と「老(ろう)」が切りすてられる時代がはじまったからだ。親鸞はまさにそのような時代に呼ばれた人物だった。彼の天才は知識ではない。論理でもない。人間が生きるために悪たらざるをえない状況において、その悪を深く知覚する天才だった。そして悩み多き時代に、人びとの何百倍も深く悩みぬく「悩みの天才」だったと私は思う。だからいまなのだ。(五木寛之氏談)
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仏教伝道文化賞を受賞される程仏教に精通した五木氏ならではの深いコメントである。曹洞宗開祖道元禅師の生涯は昨年「禅ZEN」という名で映画化され好評を得た。「親鸞」も映画化されるのであれば、是非とも観に行きたい。

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